エネうる通信【コラム】

2022年8月29日

太陽光発電のメリット・デメリットとは?仕組みや特徴もチェック

エネルギー不足や環境問題が懸念される中、太陽光発電に注目が集まっています。
太陽光発電は環境に優しく、コストや収入面のメリットも大きいです。

そこで本記事では、太陽光発電の仕組みや特徴、種類や導入目的について解説します。
太陽光発電について知りたい方、売電に興味のある方は、ぜひ参考にしてください。

太陽光発電のメリット・デメリットとは?仕組みや特徴もチェック

太陽光発電とは

太陽光発電とは、太陽の光をエネルギー源として電気を生成する方法のことです。
金属などの固体物質表面に光が当たると、光を吸収した表面から電子が飛び出します。

太陽光発電はこの「光電効果」を利用し、シリコン半導体に当たった太陽の「光エネルギー」を、直接「電気エネルギー」に変えて発電するシステムです。

日本ではドイツ・中国に並び、太陽光発電の導入が進んでいます。温室効果ガスを排出することなく国内で生産可能な、まさに低炭素で多用な再生可能エネルギーの代表です。

経済産業省の資源エネルギー庁によれば、2019年の日本の再エネ電力比率は18.0%であり、そのうちの6.7%を太陽光発電が占めます。今後も再エネ発電コストの低下が見通されているため、脱炭素社会実現に向けて太陽光発電も普及していくでしょう。

太陽光発電システムには、商用の電力線に繋げる「系統連系システム」と、商用の電力線に繋げずに生じた電気をバッテリーに蓄えたり、そのまま使ったりする「独立電源システム」があります。

系統連系システムは一般家庭や学校・病院などの公共施設、ショッピングモールなどの商業施設で主に使用されます。生成した電力を自家消費するだけでなく、余った電力を電力会社に送り買い取ってもらえます。

反対に、発電力量が少なく不足するときは、電力会社から電力を買うことも可能です。太陽光発電システムの設置には初期費用がかかるものの、電気代を節約できる上、売電による収益性も高いため、長期的に見るとコストを回収しやすいのもポイントです。

独立電源システムはその名の通り、電力会社の設備とは独立し、生成した電力を販売せず自家消費します。売電しないため余剰分の電力が多くなるケースがあります。そのため、余った電力を蓄えておくバッテリーの設置が必要です。

バッテリーの利用により、光エネルギーの多い昼間に発電し、蓄えておいた電力を夜間に使えます。また、独立電源システムは防災用や、海外の無電化地域の生活の質の向上のためなど、様々な目的で用いられています。

太陽光発電の発電量はどのくらい?

太陽光発電の発電量を知る上では、kWとkWhの2つの単位を把握する必要があります。

kWは瞬間的に生み出せる電力量を指し、太陽光パネルやパワーコンディショナーの性能を表す際に用いられます。一方、kWhとは1時間あたりに実際に生み出した電力量のことです。kWが高い設備であっても、天候や環境によって発電量が下がるとkWhの数値が低くなるケースもあります。

太陽光発電の発電量は、

システム容量(kW)×平均日射量(kWh/㎡)×損失係数(%)で求められます。

システム容量とは生成可能な電力量の数値です。太陽光システムの規模によって異なります。平均日射量とは太陽光パネルに対して降り注ぐ、太陽からの光エネルギー量の平均値です。地域や時期、太陽光パネルの設置角度や方向などによって変わります。

また、太陽光発電では生成された電力の全てを使えるわけではありません。太陽光パネルの汚れや温度上昇、パワーコンディショナーの変換などにより発電効率が落ち、電力を失う可能性もあります。そのため、損失係数として0.75〜0.85をかけて、発電量を計算するのが一般的です。

家庭用の太陽光発電システムの場合、発電容量3〜5kWが主流です。
4.5kWの発電容量では、1日あたり約14.5kWh発電できると言われています。
4人家族の1日の電気使用量の目安が13〜18.5kWhとされているため、自家消費を賄える程度と考えられます。

通常、発電量が最も多いのは4月から5月にかけてです。7月〜8月は日照時間が長いものの、太陽光パネルが高温になりすぎるため、発電効率が落ちてしまいます。発電に最適なパネルの温度は25度であるため、気温が高すぎず日照時間が長い4月5月に、最も多くの電気を生成できます。

一方で、12月〜3月の冬場は損失係数が最も小さく、発電効率が高いです。ただし、日射量が少ないため発電総量も多くありません。また、日射が最大となる正午をピークに、11〜13時の昼間が最も電気を生成します。

発電量は季節や時間帯だけでなく、天候の影響も大きく受けます。
晴天時に比べると曇天時は日射量が減るため、発電量も少ないです。

ただし、直射日光が当たらなくても十分な明るさがある限り、晴天時の半分程度は発電可能と言われています。

雨天時や降雪時は雲が厚く太陽光が届かないため、発電量が著しく減少します。
雨季の6月〜7月は日射量が減り、降雪のある12月〜1月は通常時の半分程度の発電量に留まる傾向があります。

太陽光発電の仕組みとは

太陽光パネルはプラス極(正孔)を帯びやすい「N型半導体」と、マイナス極(電子)を帯びやすい「P型半導体」が重なり合ってできています。

両者の接合面に光エネルギーが加わると、プラス極とマイナス極が繋がり、乾電池のように電気が流れるという仕組みです。

太陽光パネルで生成された直流電力は、接続箱を経由しパワーコンディショナーに送られます。パワーコンディショナーによって一般利用が可能な交流電力に変換され、家庭の分電盤を通り、各コンセントや電力会社の送電線に流れます。

太陽光パネルが光エネルギーを電気エネルギーに変える際の効率を「変換効率」と呼びます。現在、市販されている太陽光パネルの変換効率は15〜20%程度です。特に、シリコン製のものは変換効率が高いと言われています。

太陽光発電の特徴

太陽光発電は太陽の光をエネルギー源とするため、設置する地域に制限がありません。

屋根や壁などの未使用スペースを活用しながら、遠隔地の電源や非常用電源として使えます。電気代節約や売電による収入などコスト面での利点や、環境保護や資源問題に対する有効策としても期待されます。

その反面、天候の影響や高い設置費用などの課題点も見逃せません。

以下で、太陽光発電の具体的なメリットとデメリットについて、詳しく見ていきましょう。

➤関連記事:野立て太陽光発電ってどう?メリット・デメリット、設置費用を徹底解説

太陽光発電のメリット

太陽光発電を導入することで、豊富なメリットが考えられます。

温室効果ガスの削減

従来の主なエネルギー源である石油・石炭・天然ガスなどの化石燃料は、限りのあるエネルギー資源です。化石燃料は使用に伴い、地球温暖化の原因である二酸化炭素を排出します。

一方で、太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーは、一度使用しても比較的短期間で再生され、繰り返し利用できます。資源が枯渇する心配がなく、半永久的に利用可能です。

また、発電時に二酸化炭素を排出しないため、環境に優しい点も特長の一つです。
東京都地球温暖化防止活動推進センターによれば、火力発電によるCO2排出量は、1kWhあたり約690gと言われています。

対して太陽光発電によるCO2排出量は、1kWhあたり17〜48gであり、火力発電に比べ1kWhあたり約650gのCO2を削減可能です。

1kWの太陽光発電システムの年間発電量を1,000kWhとすると、1年で約1,950kgのCO2を減らせることになります。

再生可能エネルギーは環境汚染対策への貢献度が高いため、世界的に導入が推奨されています。日本国内においても、あらゆる再エネ導入を対象とした補助金制度が存在します。

エネルギー自給率向上

日本のエネルギー供給の約8割は、石油・石炭・天然ガスなどの化石燃料が占めており、その大半を海外からの輸入に頼っています。経済産業省の資源エネルギー庁によれば、2019年度の日本のエネルギー自給率は12.1%で、他のOECD諸国と比べて低い水準です。

世界的にエネルギー需要が高まる中では、日本国内でのエネルギー資源の確保が深刻な課題となっています

太陽光発電は化石燃料を必要とせず、太陽の光だけで電気を生成でき、純国産エネルギーとして幅広く活用可能です。

発電場所の条件としては太陽光が当たればクリアできるため、住宅やビルの屋根・屋上・壁など既に存在する未使用のエリアを活用でき、スペースを新たに用意する必要がありません。家屋に太陽光パネルを設置すれば、発電所からの供給に頼ることなく、家庭内の電力を賄えます。

また、余った電力を電力会社に売ることで、収入を得られる可能性もあります。

さらに、利用されなくなった土地を整備し、太陽光パネルを複数枚つなげたアレイを設置すれば、大量発電も可能です。送電設備がない山岳部や農地に向けて、遠隔地の電源として活用できます。バッテリーを設置すれば電力を蓄え、災害時や停電時の非常用電源としても使えます。

家庭単位から商業施設・大型ビルまで、太陽光発電システムを導入することで、国内のエネルギー自給率を向上させられるでしょう。

雇用の創出や地域活性化へ

太陽光発電の導入は、雇用の創出や地域の活性化にも繋がります。

太陽光発電システムを利用するためには、太陽光パネルやアレイ・パワーコンディショナーなど、様々な設備を設置しなくてはなりません。施工工事や設備の製造・維持管理には、人手が必要です。発電量あたりの雇用人数は、化石燃料と比べると同程度〜10倍程度と言われています。

実際に、再生可能エネルギーの導入が積極的に進むドイツでは、雇用者数が年々増加傾向にあります。

また、戸建て住宅の屋根や豊富な日射など、太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーは、都市部よりも郊外や地方部の導入ポテンシャルが大きいです。

実際、地域に根差した新たな再生可能エネルギー関連のビジネスも増えています。新ビジネスの振興を図ることで、雇用機会の拡大と地域の活性化も期待されます。

太陽光発電のデメリット

一方で、太陽光発電を導入する際には、留意すべきデメリットも存在します。

設置コストが高い

太陽光発電システムを構築するためには、太陽光パネルやパワーコンディショナーなどの設備を設置する必要があり、架台や工事費などを含めると初期費用が高くなりがちです。

一般家庭における太陽光発電設備の設置には、80〜130万円程度かかると言われています。
国際水準と比べてもコストが高いことは、日本での太陽光発電の普及を妨げる要因になりかねません。

しかし、電気代の節約や売電による収入など、長期的な視野で見ればコストの元を取ることも十分可能です。地方自治体の補助金制度を利用したり、リース契約をしたりすることで、初期費用を抑えやすくなります。

また、太陽光発電設備は屋外に設置するため、外部環境の影響を強く受けます
発電量を維持し、設備を安全に長く使うためには、専門家による定期的なメンテナンスが欠かせません。

設置スペースが必要

太陽光発電を導入するためには、一定面積以上の設置スペースが必要です。
例えば、100万kW級の発電施設を作る場合、原子力発電では約0.6k㎡の面積であるのに対し、太陽光発電では約58k㎡の面積が求められます。

また、一般住宅においては、太陽光発電設備の設置が難しいケースもあります。
太陽光パネルは1枚あたり約15kgの重量があり、20〜30枚程度取り付ければ、屋根や住宅に300〜450kgもの負荷がかかることになります。住宅の構造や築年数、土地の状態によっては、重量負荷に耐えられないケースもあるかもしれません。

さらに、太陽光発電においては日射量が重要であり、太陽光パネルの角度や向きなど、設置方法によって発電効率が変わります。北向きの屋根や極端に小さい屋根では、十分な発電量を確保できず、満足のいく結果が得られない可能性もあります。

また、太陽光パネルとは別に、パワーコンディショナーの設置スペースを設けなければなりません。

太陽光発電を導入する前には、設置スペースの確認と発電量のシミュレーションが必須です。

発電量が自然条件に左右される

太陽の光がエネルギー資源となる太陽光発電では、発電量が日射量に影響されます。
山に囲まれているような日当たりの悪い環境は、太陽光発電には向いていません。

日本国内においても、東北・山陰・北陸地方などの日本海側は、年間通じて日照時間が短いため、全国平均に比べ発電パフォーマンスが劣る傾向があります。

また、同じ場所でも天候によって発電量にバラつきが生じます。
雨や雪が多い時期や曇りの日、日照時間が短い冬などは、平常時に比べて発電量が落ちやすいです。
天候による影響を最小限に抑えるためには、蓄電池の設置が効果的です。

晴天の日に余った電力を蓄えておくことで、発電量が少ない日をカバーできます。

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太陽光発電の種類

太陽光発電は、主に住宅用と産業用の2種類に分けられます。

住宅用太陽光発電

太陽光発電システムの容量が10kW未満の場合、住宅用と区別されます。
主に住宅の屋根の上に設置し、自家消費して余った電気を売電できます。

産業用太陽光発電

産業用とは容量が10kW以上の太陽光発電システムのことです。
一般的に、広大な土地に太陽光発電設備を設置し、生成した電気を売ることを目的としているため、非住宅用・事業用などとも呼ばれます。

50kW以上の容量があれば、発電した電気を全て売電可能です。
また、一般住宅であっても10kW以上の太陽光システムを設置すれば、産業用と区別されます。

太陽光発電を目的別に見ると

太陽光発電を導入する目的は、主に投資と自家消費です。

太陽光発電による投資

太陽光発電設備を導入し、発電した電気を売って収入を得ます。
初期費用がかかるものの、定期的なメンテナンスを行うことで、収入源として運用可能です。ただし、収入額は発電量や買取価格によって左右されるため、必ずしも利益を得られるとは限りません。

太陽光発電で自家消費

太陽光発電を導入する大半の目的は自家消費です。
自宅に設備を設置し、発電した電気を使用するため、電気代を安く抑えられます

また、蓄電することで災害や停電などの緊急時に備えられます。
自家消費で余った電気は、売電して収入を得ることも可能です。

➤関連記事:太陽光発電の今後はどうなる?売電よりも自家消費がメインに

太陽光発電の売電とは

太陽光発電は自家消費するだけでなく、売電することで収入源として活用できます。

固定価格買取(FIT)制度とは

固定価格買取(FIT)制度とは、再生可能エネルギーによって生成された電気を、電力会社が一定の価格で買い取ることを国が保証する制度です。FIT制度によって、初期費用やランニングコストを回収しやすくなるため、太陽光発電の普及に貢献しています。

買取費用の一部は、電気の利用者から「再エネ賦課金」として集められています。
FIT制度の買取期間は、一般家庭で多く設置される容量10kW未満の太陽光発電で、10年間です。買取期間や価格は年度によって異なり、年々下がり続けています。

制度が開始した2009年度の、太陽光単独発電(10kW未満)に対する買取価格は48円でしたが、2021年度には19円となっています。

卒FIT後

卒FITとは10年間の買取期間が過ぎ、FIT制度を満了することを意味します。
2019年にはFIT制度開始以来、10年間の買取期間を終える世帯が約55万件生じ、卒FIT後も継続して売電できるのか懸念されていました。

結果的にはFIT制度を満了しても、売電できる電力会社が多数現れたため、大きな問題やトラブルは起きていません。

しかし、卒FIT後の買取価格は6〜8円程度が目安であり、FIT制度の適用期間に比べて売電収入が大幅に減少してしまいます。今後も続々と卒FITを迎える家庭が増えるため、卒FIT後の将来的な対策を検討する必要があります。

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今後も普及が進む太陽光発電

いかがでしたでしょうか。

今回は太陽光発電の仕組みやメリット・デメリット、種類や売電に関する制度について解説しました。
太陽光発電は電気代の節約や収入源として有効的です。

また、地球温暖化や社会問題への関心が高まる中で、今後ますます太陽光発電の普及が進むでしょう。

無料相談も受け付けているので、詳しくはエネうる公式サイトを参照してください。

この記事を書いた人

エネうる 広報部

エネうるの広報担当です。太陽光発電所の基礎知識を更新していきます。これから太陽光発電所の購入や売却をお考えの方は、ぜひご参考にしてください。

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