エネうる通信【コラム】

2022年10月21日

太陽光発電の権利売買とは?仕組みや注意点を解説

所有している太陽光発電を売却したり、逆に自家発電や自社発電に向けて太陽光発電の購入設置をしたりする「太陽光発電の権利売買」が今注目されています。
太陽光発電は温室効果ガスの排出も抑えられる再生可能エネルギーで、他の発電と違い自宅やオフィスに設置できる点も魅力の一つです。
しかし、昨今における太陽光発電は権利売買という資産運用の一面も持ち合わせています。
今回は、そんな太陽光発電の権利売買に関して詳しく丁寧に解説していきます。
太陽光発電の権利売買を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

太陽光発電の権利売買とは?仕組みや注意点を解説

太陽光発電の権利売買とは

最初に、そもそも太陽光発電の権利売買とは何なのかを解説していきましょう。
太陽光発電の権利売買とは、太陽光発電による売電収入を得たい人や、逆にそういった人へ既に所有している太陽光発電を売ることで収入を得たい人が行う売買取引のことを指します。
昨今において権利売買といえば、アートやコンテンツなどのデジタルデータを代替不可な固有のものとして流通させるNFTが話題です。
デジタルコンテンツ以外にも、権利売買は目に見えないものの金銭的やり取りの手法として用いられます。
たとえば、アメリカのルナエンバシー社から販売されている「月の土地の売買」もその感覚に近いでしょう。

一方で、太陽光発電と聞くと、真っ先に思い浮かぶのが太陽光パネル。
太陽光パネルはイメージのとおり「形のある商品」です。
だからこそ「権利を売買する」というのがいまいち捉えきれないと感じるかもしれません。
しかし、陽光発電の権利売買は単に「太陽光パネル」の売買ではありません
「売電の権利」を売買することを指します
ここからは、太陽光発電の売電権利の売買に関する説明を以下の3つに分けて詳しく解説していきます。

・太陽光の売電権利を売買する理由太陽光の売電権利を売買する理由
・太陽光の売電権利を売買する方法
・売電権利付きの土地を売買する場合

この3つは、太陽光発電の権利売買に関するもっとも基礎の部分であり、それでいながらもっとも重要なところです。
できる限り詳しく伝えていくので、ぜひ最後までご覧ください。

太陽光の売電権利を売買する理由

先ほど、太陽光発電の権利売買の本質は、太陽光パネルという形あるものの売買ではなく、売電権利の売買であることを説明してきました。

では、売電権利とは何か。

ここからは、太陽光発電における売電権利とそれを売買できる仕組みについて解説していきます。
そもそも、太陽光発電とは何のために行うのでしょうか。
登場当時は地球温暖化への一回答としての論調も多く見られ、そこから環境のための導入を謳われる場面を目にする機会も少なくありませんでした。

しかし、今では太陽光発電が環境対策になるという論旨を疑問視する声も上がっています。
それは太陽光発電のメリットでありデメリットでもある設置システムが理由です。
太陽光発電をするのに必要な太陽光パネルには、太陽光を受け止めるだけの広い面積が必須となります。
それは風車を必要とする風力発電や別途発電所が必要な原子力発電と比べ、縦の空間を必要としません。
そのため、住居やオフィスがある場合は、そのまま屋根に太陽光パネルを取りつけるだけで導入できます。

生活上の窮屈さは何ひとつ感じません。
設置のコストも、いわば板をはるだけのため、ほかの発電方法に比べてずっと手軽です。
しかし、それゆえ山の一部や標高の高い空き地に太陽光パネルを設置する機会も増えました。
そうすると、どうしても自然の一部を切り崩すことになります。
それも先ほど出した風車と違い、太陽光パネルは横の空間を必要とするため、埋まる自然の範囲も多くなります。
それらを鑑みると、そこまで環境問題解決の革命的手法とはいえないのです。

さて、では太陽光発電は何のために行われるのか。
答えはお金です。
太陽光発電には投資としての役割があります。
それを実現しているのがFIT制度(固定価格買取制度)。

次は、そのFIT制度が何か、その運用方法について解説していきます。
次章へ移る前に、太陽光発電が何を目的で運用されているのか、数ある発電方法との比較、特徴をしっかり押さえておきましょう。

➤関連記事:太陽光発電のメリット・デメリットとは?仕組みや特徴もチェック

太陽光の売電権利を売買する方法

では、次はいよいよ太陽光の売電権利を売買する方法です。
先ほど、FIT制度(固定価格買取制度)が鍵であることを伝えました。
FIT制度とは、太陽光も含めたエネルギー全般の買取価格を法律で一律に定める方式の助成制度です。

太陽光発電も元々は地球温暖化への回答として模索されました。
地球温暖化への対策やエネルギー源の確保、環境汚染への対処といった地球を覆う問題の一環として発案されたのがこのFIT制度です。
主に再生可能エネルギーの普及拡大と価格低減の目的で用いられます。
FIT制度によって定められた買取価格で売電を行うためには、FITの承認が必要になってきます。

そして、FITが承認した太陽光発電の権利を購入した場合は、太陽光発電事業者の権利を得られます。
それにくわえて、売電の権利である固有のIDを譲り受けることになるのですが、これが権利売買の根幹となるわけです。

FIT承認が行われた太陽光発電の事業者権利と売電権利である固有IDを所有していると、固定買取価格で売電し続けることが可能です。
これによって投資利益の配当額が受け取れるということになります。
売電できる期間も相当長く、新規の産業用太陽光発電を稼働させる場合だと、20年間の売電が可能です。

ただ、これが中古産業の太陽光発電になると、以前のオーナーが稼働させていた期間を差し引いた期間だけが固定買取価格での売電可能となるため、このあたりはしっかりと押さえておきたいポイントですね。
また、再三になりますが太陽光発電の権利売買は投資的な役割を持っています。
というのも、FITによって定められる固定買取価格は、FIT承認年によって高低差があります。
去年高かったから今年も高いとは限らないというわけです。

さらに押さえておきたいのは、運用方法はひとつではないということ。
産業用の太陽光発電の権利売却をする場合、第三者へ発電事業者権利やFIT制度の権利である固有IDを売却することでまとまったお金が獲得できます。
中古太陽光発電所の売却と同じような感覚で権利を売却できるわけですね。

売電権利つきの土地を売買する場合

ここまでで太陽光発電の権利売買に関する輪郭が掴めてきたのではないでしょうか。
ここで最後に「売電権利がついた土地を売買する」という手法についても触れておきます。
ここまでの話では、権利の売買といえど太陽光パネルごとの譲渡が一般的という話でした。

しかし、太陽光発電の権利売買には、太陽光パネルという「発電設備」の売買だけではなく、売電権利、つまり固有IDが付与された「土地」をまるまる売買する方法も存在します。
出力10キロワット以上の産業用太陽光発電は、一定以上の広い面積がある土地に設置して、発電および売電、自家消費を行うのが主流です。
そのため、売電権利である固有のIDがついた土地には、土地自体に価値や需要が生まれます。

また、売電権利はあるが太陽光発電設備が設置されていないという土地も少なくありません。
権利を先に購入し、そのあとに太陽光発電設備の設置依頼や、電力会社との接続契約といった各種必要な手続きを進めていきます。
また、先述したとおり、FITによって定められる固定買取価格はFITの承認を受けた年によって変動します。

長期もの間、太陽光パネルが設置されていない、太陽光発電設備はあるものの稼働が行われていないといった土地の場合、接続契約を済ませた年の固定買取価格を参照して売電を行うケースが多いです。
そのため、高い固定買取価格で売電を始めたくて売電権利がすでについている中古太陽光発電所を購入する場合は、FIT承認年や、各種設備の接続契約年をチェックしたうえで購入に踏みきりましょう

太陽光発電の売電権利付きを売却する方法

ここまでで太陽光発電の権利売買について必須の知識を網羅的に解説してきました。
ここからは、実際に太陽光発電の売電権利つきを売却するための具体的方法について見ていきます。
ここでは、主流である以下の2つの方法を紹介します。

・IDなどの資料準備
・仲介会社へ問いあわせる

それぞれ簡単に解説していきますが、いまいち理解ができないという方は、本記事の最初に戻って再確認しながら読み進めてみてください。

IDなどの資料準備

売電権利がついた太陽光発電の設備や土地を売却するためには、設置者IDなるものが必要です。
ほかにも資料が何点か必要です。必要な書類をすべて以下に列挙します。

・設置者ID
・パスワード
・太陽光発電の売電権利を持つ土地の使用、あるいは所有に関する証明書類
・電力会社の契約書類

設置者IDやパスワードは「再生可能エネルギー申請」という申請や変更などの手続きを専門とするサイトで使用します。
譲渡の際には必ず用意してください。

仲介会社へ問いあわせる

ここまで読み進めた方のなかには、太陽光発電の権利売買における複雑さや、売電権利や設備の接続といった各種手続きの難しさに懸念がある方もいるかもしれません。

そこで役立つのが専門家への依頼。
太陽光発電に関する仲介会社がいくつかあるため、そうしたところへ相談するのもおすすめの方法のひとつです。
エネうるもそのうちのひとつで、各種面倒な手続きを一気に任せられるほか、投資としての太陽光発電についても高い利回りが好評のため、仲介会社への問いあわせを検討している方にはとくにおすすめです。

太陽光発電の売電権利なしを売却する方法

次も同じく、太陽光発電の売却に関する方法です。
しかし、今回は売電権利がない場合の太陽光発電を売却する方法について話していきます。
といっても、流れ自体は簡単です。
まずは以下の流れを覚えましょう。

1.仮契約手続き
2.電力会社にて変更手続き
3.経済産業省にて権利変更の申請手続き
4.売却額の調整
5.本契約の手続き
6.引き渡し

なお、売電権利を得てから売却をする場合は、権利を得るのに時間がかかる可能性もあります。
自家消費型太陽光発電のような売電権利がついていない設備の場合でも、先ほどおすすめしたように仲介会社への相談がベターでしょう。

太陽光発電の権利売買は詐欺に注意

太陽光発電の権利売買はその複雑さも相まってか、詐欺が後を絶ちません。
ここでは、太陽光発電の権利売買詐欺に引っかからないための方法を、以下の5つに絞って紹介します。

・不明な点は理解できるまで聞く
・売電収益のシミュレーションは自身でも行う
・売却先や購入先は複数用意する

セールストークに要注意

過去の太陽光発電の実績や実態を把握する

すべて大事な要素なので、それぞれ注意深く確認していってください。

不明な点は理解できるまで聞く

本記事では「権利売買」について理解できるように詳しく解説していますが、ほかにも太陽光発電の世界では「系統連系」や「逆潮流」など専門用語が多数登場します。
その難解さをいいことに、専門用語を多用して煙に巻く業者がいるのも事実です。
少しでもわからないポイントがあれば、すぐにその場で尋ねましょう。
反面、悪質な太陽光発電業者は「儲かります」「格安かつ高利回りです」と抽象的で甘い言葉を並べることも多いでしょう。
そうした内容が事実と異なっていないか、逐一詳しい説明を求めながら進めていきましょう。
曖昧な説明や専門用語に疑問を抱いたときには、すぐに確認をとる。
これが契約時の基本です。
また、詳しい説明を受けられないときには別の業者との比較検討で判断しましょう。

売電収益のシミュレーションは自身でも行う

難しい説明で煙に巻き、一方的に有利な契約を進めていく業者はまだ可愛いものです。
悪質な太陽光発電業者のなかには、売電収支や利回りなどの数値をいじり、都合の悪い部分を隠したり虚偽の情報を提示したりするところもあります。
そのため、検討している太陽光発電の設備は必ず自身でも収支のシミュレーションや実質利回りの計算を行い、差について説明を求めましょう

発電量のシミュレーションはNEDOのデータベースを参考にするのがおすすめです。
日射量や発電量の算出が行えます。
地域によってはひとめで目安を確認することも可能なためおすすめです。

売却先や購入先は複数用意する

太陽光発電の権利売買においても、根本的な考え方は一般的なショッピングと変わりません。
例えば洗濯機を買いたいとき、最初に目に入ったものを買う人は少なく、多くの人は多店舗で、あるいは複数のメーカーから探すでしょう。
太陽光発電においても、売却先や購入先は複数の業者で見積作成をしてもらいましょう。
複数の業者から説明を受けることで、購入費用や売却費用が相場より大幅にずれていないか、適当な契約内容ではないかが浮き彫りになってきます。

また、先述した各種数値について知識がなくとも、適正値かどうかぼんやりながら掴めるでしょう。
悪質な業者を候補から外しながら、よりよい太陽光発電業者を見つけられるため、必ず行ってほしい検討方法です。

セールストークに要注意

自分は詐欺に引っかからないと思い込んでいる人ほど詐欺に引っかかりやすいのは有名な話ですが、もちろん太陽光発電の権利売買でも同じことがいえます。
悪質な業者は口が上手く、気づけば騙されていたということが往々にしてあります。
甘い言葉、惹かれる話し方、自然で楽な会話など、怪しさの欠片がない部分に怪しさは隠れています。
話が上手く、スムーズに契約が進んでいる場合は一度立ち止まって疑ってみましょう。
この場合でも、ほか業者と比較するのは非常に有効な手です。
気持ちのよい取引だからこそ、怪しさが隠しやすいという点は常に覚えておきたいですね。

過去の太陽光発電の実績や実態を把握する

最後に紹介するのは、過去の太陽光発電の実績や実態を把握する方法です。
HPや企業概要、事業計画認定情報など、拾えるだけの情報から事業の実態を確認してみるのがおすすめです。
過去の実績や口コミも参考になることでしょう。
実績がわからない業者や実態が見られない業者、口コミでトラブルが予想される業者は避けた方がよいですね。

悪質な太陽光業者に騙された場合の対処法

ここまで、太陽光発電の権利売買詐欺に引っかからないための方法を伝えてきましたが、詐欺は生き物のようなもの。
常に環境へ適応し、姿を変えながら善良な市民を襲います。
もしも悪質な太陽光業者に騙されてしまった場合の対処法も、本記事であわせて伝えておきます。
主に以下の2つが有効です。

・クーリングオフ制度で契約解除
・国民生活センターに相談

自分の身を守るためにも、両方しっかり頭に入れていってくださいね。

クーリングオフ制度で契約解除

日本では、特定商取引法によって「クーリングオフ制度」が定められています。
訪問販売、電話勧誘販売、特定継続的役務提供、訪問購入であれば契約から8日間、連鎖販売取引および業務提供誘引販売取引であれば契約から20日間、契約の申し込みを撤回できる制度です。
契約後でも焦らず、冷静に対処しましょう。

国民生活センターに相談

国民生活センターは、国民生活の安定と向上に寄与すること、国民生活に関する情報の提供や調査研究を行うこと、重要消費者紛争について法による解決のための手続きを進めることを主に行う法人団体です。
消費に関するトラブルは大抵対応してくれます。
上記のクーリングオフ制度についても国民生活センターに紹介があり、トラブル後だけでなくトラブル前の知識についても国民生活センターから得ることができます。

発電権利つきの中古・稼働済み太陽光発電を購入するメリット

発電権利つきの中古太陽光発電や稼働済み太陽光発電を購入するメリットは大きく分けて2つ。
高い固定買取価格で売電を行える可能性があることと、実績を確認したうえで購入や稼働ができることです。

とくに2012年〜2014年は固定買取価格が30円台で、その時期にFIT承認を受けた中古太陽光発電所は、2022年でも同様の高価格で売電を行えます。
また、過去の発電や売電、設備状況や収支などをシミュレーションではなく実績として確認できるため、中古だからといって悪いわけではありません。

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発電権利つきの太陽光発電はメリットが複数ある

FIT制度の承認を受けた太陽光発電である売電権利つきの太陽光発電は、何より売却が可能な点がメリットです。
先述したとおり、売却時には売電権利に関するIDやパスワードが必要になります。
発電権利つきの太陽光発電は売却が可能なため、運用による売電だけでなく、売却時による売却益を得られるため、大きく速い収益になります。
また、これは同時に次の投資や資産運用へ活用しやすいといったメリットでもあります。
太陽光発電を検討している方は、発電権利つきのものがベターでしょう。

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それぞれに合ったプランをご提案します。

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太陽光発電の権利売買はFITの活用で

いかがでしたか。
今回は太陽光発電の権利売買について、その方法やどうしてもつきまとう詐欺の実態および対処法について解説しました。

太陽光発電の権利売買は、太陽光発電による売電収入を得たい人や、逆にそういった人へ既に所有している太陽光発電を売ることで収入を得たい人が行う売買取引のことです。
方法としては、太陽光も含めたエネルギー全般の買取価格を法律で一律に定める方式の助成制度であるFIT制度(固有価格買取制度)を活用します。
太陽光発電の権利を購入した場合はそれを証明する「太陽光発電事業者の権利」と売電の権利である「固有のID」を譲り受けることになり、それら2つの権利によって売電が可能となります。

固有買取価格はFITの承認年によって変動すること、新規の産業用太陽光発電を稼働させる場合だと20年間の売電期間が確保できるが、中古産業の太陽光発電を稼働させる場合だと以前のオーナーが稼働させていた期間を差し引いた期間以外は売電できないこともあわせて押さえておきましょう。
無料相談も受けつけているので、詳しくはエネうる公式サイトを参照してください。

この記事を書いた人

エネうる 広報部

エネうるの広報担当です。太陽光発電所の基礎知識を更新していきます。これから太陽光発電所の購入や売却をお考えの方は、ぜひご参考にしてください。

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